This story is sequel to event story Delve into "The Sorrows of Young Werther" - Part 1.
The Objective[]
これから、概念が崩壊してしまった『ファウスト』を復活させていく
その前段階として、まず『ウェルテル』に人工の概念を造る
そのためには、『ウェルテル』に人を送り込んで「ゲート」を開く必要があるんだね
そのあと、文学を構成していた概念の中身である「概念の欠片」を一つ一つ文豪たちに集めてもらい
アルケミストがその修復作業を行う
で、俺達は待機組ってか。まあ、何があるかわからないからな
ところで……潜書する本に、この物語を選んだのはなぜだ?
やっぱり、ゲーテさんの作品の中でも特に文学として影響力が大きいからだろうな
そうそう、満場一致ってやつだろうね。それだけこの本は価値が高いと言われているんだ
錬金術みたいに役に立たないからかい? 実利主義だねえ
この作品がどんな物語なのか。それを話してもいいが……
私達から説明されるのでなく、己で読んでみてはどうだろう
いい考えだな。作品の良さを本当に知ろうとするなら、読んでみるのが一番だ
説明すれば、私達の価値判断が入る。せっかく師匠が書いたものなのだから、読むことを薦める
じゃあさ、ゲーテさんたちの連絡を待っている間、みんなで『ウェルテル』を読むことにしようか?
Impressions After Reading[]
なんだい、アンタは死にたくなるほど人を好きになったことはないのかい?
じゃあ、「愛のカタチには色々ある。人は何かを愛さずにはいられない」
こう言えば、少しはわかるんじゃないかい
何を言うんだい、勇! 作家が愛を語らずして誰か語るんだ
愛を謳い上げるのが詩人や小説家の仕事。ワタシたちはたくさんの人の心を動かしていたんだからね
まあ、失恋……愛が報われないっていうのは辛いものだ。それが文学になるのも当然といえる
ああ。実際この話は、ゲーテさんの実体験だって聞いたぞ
弟子に面白さがわからないって言われたら傷つくだろうな……
確かにゲーテさんってすごく明るい人だから、暗い話を書いていたのは意外だがな
Essence of Literature[]
他にも疑問はある……なぜこの物語は、主人公の死でもって終わるのだ?
わからないな。お前たちが以前言ったように、人々に希望を与えるのが文学ならば
この物語の主人公も希望を持って終わるべきだったのでは?
この男は恋に溺れきって視野狭窄に陥っているわけではない
むしろ、多くの要因によって人生に絶望してしまったと言うのが適当だろう
ウェルテル、ひいてはゲーテさんが思うようなことは普通の人たちも経験してる
そこに共感するんだよ。ウェルテルは友だちなんだ。心の友だね
この物語のウェルテルは最後に死んでしまったが、読者である俺たちにとっては生きる勇気になるんだよ
矛盾しているように感じるかもしれないが
そうだねえ。でもこういうところが、文学の本質だと思うな
人間は悲劇で心が洗われることもある。そういうことだ
ああ。だが、一度立ち止まって考えてみてもいいかもな
なぜなら、これからその文学たちを復活させようっていうんだから
そうだね。それが読書、文学を楽しむことの一つだからさ
Notion Fragments[]
ああ、侵蝕者との接触があったが、概ね問題なく進むことができたよ
ええ、みなさんの協力のおかげです。ありがとうございます
これは例えるならボロボロの本のページだ。文章は欠けたり損なわれたりしている
これからみなさんが集めてきた概念の欠片を一つ一つ修復していくことになります
修復は俺たちで分担して行う。文豪たちだけでなく、全員の協力が不可欠だ
もちろん! 全力で助けるよ。それが文学を救うことになるんだから!
Literature, A Friend[]
師匠、元気がありませんね。ついに念願だった、文学を修復する目処が立ったはずなのに……
みなさんの協力のおかげで、無事浄化することができましたが、私はある疑念が拭えません
あの侵蝕者は、かつてのウェルテルたちだったのではないか、と
あの侵蝕者は、今までのどの侵蝕者とも様子が違いました
多くの人間の感情が折り重なって生まれた……巨大な、重々しい感情です
あの感情には、身に覚えがあります。まさに『ウェルテル』を書いた時の激情です
だからこそ、かつて人間だったであろうあの侵蝕者たちは私の文学では救えなかったのかと
悔やむ思いが湧き起こるのです
私はその場にいなかったので、確かなことは言えませんが……
師匠の連絡を待ちながら、本を読んでいて思い至ったのです
侵蝕者という救われない人の魂が持つ感情を「浄化」するということは
文学を読んで人が感動し、心が洗われるということと同じではないかと
その侵蝕者も、最後は心が浄化されたはず
師匠が文学で救った人々と同じように
……そうですね。私は少し過信していたようです
文学をもってすれば、錬金術と同じように何でもできてしまう、と
確かに、文学は錬金術のように万能なものではないのでしょう
実際、私は心が洗われるほど『ウェルテル』に共感することができませんでした
ふふ、ありがとうございます。ところで、私の本を読んだのですね?
は、はい。あの主人公に共感はできませんでしたが……
私も結社に帰還した後、この『ウェルテル』をもう一度読んでみるつもりです
文学で人の感情を理解すれば新たな知識が得られると、今は思っていますから
本当ですか? それは素晴らしいことです。ですが……
ファウスト、私としてはこの本が貴方の友になることを願っています
もちろん、それを強いることはできませんが……
読書は一期一会。同じ本でも、読む度に新たな感想が生まれます
Into a New Literary Work[]
ああ、ついさっきだ。失われたと考えられていた書物が発見された
本当だろうな。がっかりしたくねえぞ
これまで、その名目でいろんな実験だか調査だかにつきあわされてきたんだ
ああ、君たちの長期に渡る協力が無ければ見つからなかっただろう
世界中の星空から、ある一点の暗い星を探し出したみたいなもんだ。俺たちはツイてるぜ
幸運なことに、『ウェルテル』の一件で、文学を修復する目処は立った
今回も潜書し、最奥部に到達することができれば……
……レフの文学を取り戻すための本に、これ以上ふさわしい作品はないな
そうだな。彼、トルストイを呼んでくれ。詳しい話はその後にしよう
人手も必要だ。手の空いている者にも声をかけておこう
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Delve into "The Sorrows of Young Werther" - Part 1