うん、有難う。なかなか着心地が良いね
そうですか。この服、他の方からも好評なんです
あっ、梶。なにしてるんだ?
ここで服を作ってくれると聞いてお邪魔していたんだ見て、アオくんが用意してくれたんだよ
どうだい、お洒落だろう?
うーん、梶が言うならそうなんだろうけど正直……よくわからん
なんだって? 達治、君って……
変に工夫しなくても、普通に着ればいいんじゃないか?制服なんか誰が着ても似合うように作ってある
誰が着ても似合うように作ってあるからこそ自分らしい着こなしを考える楽しみがあるんじゃないか
世界にたった一人しかいない自分の為にとっておきの一着を用意する……考えただけで胸が躍るよ!
喜んでもらえて良かったです。色々と注文に応えた甲斐がありました
達治の制服も用意してあるんだ。早く着替えてきて
ちょ、いつにも増して強引じゃないか?
良いから良いから。待ってるからね、急いでくれよ
よいしょっと……
梶、なにしてんだ?
机をくっつけているのさ。お昼休みには、みんなこうするだろう?
さっきチャイムが鳴ってたし、素敵な音楽も流れている僕らも休憩しようよ、達治
ここでは腹も減らないし、弁当なんか必要ないのに……
僕が研究に協力するためには必要なんだよ
ほら、達治の分のお弁当だよ。食堂で作ってもらったんだ開けてみて
中身……カレー!? なんで弁当にカレーなんだ
達治は辛いものが好きだから
見て。全部カレーだけど、飽きないように、ひよこ豆のカレーと、チキンカレーあとマサラカレーを用意してもらったんだよ。それからサラダとナン
む、無駄に本格的……
机の上に広げた時、華やかになるように色々考えたんだ味が均一化された購買のパンよりも、お腹も心も満たされるよ
はあ、梶は何処へ行っても梶なんだなあ……
そういうところ、学生時代から変わらないんだろうな
そんなことないよ
え?
……学生時代、病気で学校に行けない日の方が多かったからね。こういう事に憧れていたんだ
机の上にお弁当を広げて、友達と話しながら食事をする学校を卒業してしまえば二度と還らない日常だ
あの貴重な時間をもう一度味わえるんだよ。達治も心が躍らないかい?
……教室の中にしかない青春もあるってことか
そうとも。お弁当を食べながら、僕らの青春を楽しもうよ